「先生、金沢方面、三泊四日のバリアフリーツアー

に行って来ますね。」

理学療法の先生に伝えました。

一年間の入院生活のあと、日曜祝日以外の

毎日、リハビリ通院している主人に、ただ、がんばって

と励ますのにも心が痛んできておりました。

退院して二年八ヶ月。その間に一度だけ神戸市の施設

しあわせの村に一泊しました。

車の運転ができない私は主人を遠くに連れ出すことが

できず、その時も長男に送り迎えをしてもらっての

小旅行でした。

申し込もうと思ったツアーは名古屋集合です。「無理と

思うから止めた方が良い。」の長男の一言であきらめ

ざるをえません。

二人分の着替え、電動車イスのバッテリー充電器、

入浴時の足の装具、シャンプーハット、介助ベルト

すべり止めマット、ターンテーブル・・・・・。

数えればきりのない荷物。
子供が心配するのも無理ありません。

「先生、旅行あきらめました。」

何日かして探してみたからと資料を私に

先生が下さったのです。

目に入れても痛くない孫も一緒に行くと言って

くれ、やっと主人の顔がほころび始めました。

送ってもらったカタログを毎日ながめ、指おり

数えて楽しみにしました。

その間に主人の弟夫婦も同行してくれることに

なり心強い思いです。

まず、一日目。道路も混むことなく東尋坊へ到着。
しばらく楽しんで芦原温泉に着くと同時の

雨・風・雷、運がよかったねと大喜び。

バリアフリーの部屋には、檜の露天風呂が

ついていて、雨の音を聞きながらの四苦八苦の

入浴でしたが、主人は喜びました。

夕食が、超豪華。

次から次へとごちそうであまりの多さに驚きです。
手つかずで残してしまった料理に今だに

未練が残っています。

翌朝6時にもう一度お風呂に入りましたが、

二度目とあって、とてもうまく入れてあげることが

できました。

時期が早いとあきらめていた紅葉でしたが、

白山スーパー林道は美しい色どりで私達を

迎えてくれました。

白川郷合掌集落も沢山の人出でしたが、

やさしい町並で心を癒してくれました。

高山のホテルもバリアフリーで部屋風呂には

すでに浴槽のなかにすべりどめマットが敷かれ

バスボード・入浴用車イスも準備されていて

何の心配もなく入浴させて頂きました。

翌朝は車イスのまま入浴できるお風呂を貸切

にして頂いて大浴場に二人でゆっくり

入らせて頂きました。
無理だとあきらめていた温泉旅行に行けた

ことは、毎日のリハビリに、はげみができました。

心にうるおいもできます。

楽しい旅を企画して下さった奥谷さんありがとう

ございます。

お忙しい中で探して下さった先生本当にありがとう

ございます。

そして、同行して助けてくれた弟夫婦に感謝して

います。
2002年10月
東尋坊・白山スーパー林道・
      白川郷・高山の旅